シロアリの巣 シロアリは水を運ぶ

これは何でしょう。6年程前に改修した蒲生の蔵にあったシロアリの巣です。10年以上動かすことのなかった蔵の戸の裏側にありました。この巣を拠点に周りの木材を食べながら巣を大きくしてきたわけですが、シロアリは生きていくためにも、また、木材を食べるためにも水が必要です。外部の水分のある地中と連続してシロアリが水を運ぶ道「蟻道」ギドウを作って、水を運びながら生活しています。シロアリは、蟻道の中を動いている分には安全なんですが、乾燥に弱いので、日に当たる場所、風の吹く場所を嫌います。このシロアリ巣は、3センチ程の巨大な蟻道を作って地中と連続、水を運んでいました。

これは新築の住宅にできた初期の蟻道です。一見、コンクリートのスミに土埃が溜まっているように見えますが、このゴミの中に蟻道があります。鹿児島の場合、火山灰がこのような状況で溜まっているコトもありますが、その塊を利用して蟻道を作る場合があります。地中から数センチの距離で、蟻道を作りやすい環境があるわけですから、ウッドデッキ下のこのような場所はシロアリにとって格好のアタックルートになります。この蟻道は、ウッドデッキの奥まで伸びて、薄暗く風も吹かないところで、蟻道を立ち上げ、家の中へ侵入していました。床下へ入れば、風も陽射しも無い訳ですから、シロアリは構造材のヒノキ、スギを食べながら床下で巣を成長させていきます。写真は初期の食害を受けたヒノキです。一般的に、スギよりヒノキがシロアリに強いと言われていますが、シロアリは、この写真でも解るようにヒノキの周辺の白い部分をスギより好みます。この現場でも、食害を受けているのはヒノキのみで、すぐ横に並んでいるスギには全く食害はありませんでした。このような蟻道を作りやすいルートに木材や段ボールが置いてあったら、まだまだ蟻道が作りやすくなります。住宅の足元周りには、木材や段ボール類は置かない。シロアリの習性を知っていれば、絶対にやらないことです。

梅雨明けの蒸し暑い季節。この時期が最もシロアリが活発に動きます。シロアリが建物にいる場合、一番見つけやすい時期でもあります。

「じねんもくの家」の床下には、全体を照らすように照明を配置してあります。年に一度、この時期に床下へもぐってみましょう。いないコトを確認できれば、薬剤散布する必要はないですよね。床下の確認をしないで、「シロアリは怖いから」、「となりでシロアリ被害があったらしい。予防のために。」このような理由で薬剤散布しますが、有効年数は、5年程度。その後が、問題です。点検を続ける方が安全です。

じねんもくは、このような必要のない薬剤散布はしません。シロアリは、習性を理解してそれに対応した建物形状を作り、定期的に点検すれば怖がる必要は、ありません。

次回は、初期の蟻道を発見した場合の対応を紹介します。