<ひらやパッシブ> 配置・軒の出の検討
天気に恵まれたゴールデンウィークも終わりましたね。
さて、気分を入れ替えて、今日から仕事モード。
今、設計を進めている<ひらやパッシブ>です。
南面が真南から22.5度西に振れているのですが、その影響が夏場、想像以上に大きいんです。
その状況と対応方法について御紹介します。
南薩、薩摩半島を鹿児島市から車で1時間程、南へ下った加世田・喜入、2ヵ所で、平屋タイプの住宅を計画しています。敷地はどちらも100坪以上。昨年の春竣工した「姶良の家2」を少しコンパクトにしたプランです。
今回、御紹介しているのは、喜入の<ひらやパッシブ>です。
スケッチアップでモデルを立ち上げ、軒の出と配置の検討を行っています。
グーグルマップの中に、敷地を落とし込むコトで、緯度経度が正確に反映されます。
「何月何日何時何分の影」が正確にシュミレーション出来ます。
軒の出1200 北側隣地境界線に平行に配置 南側の開口面が真南から西側へ22.5度振れています。
「夏、日射を窓面に絶対にあてない。」
「冬は、日射をたっぷり取り込みたい。」
パッシブデザインが目指す方針です。
通常、平屋の軒の出は、1200~1500程度。これで、相反する条件を満足出来るのですが、
今回、配置が西へ22.4度振れていることで、
まだ暑さの残る、出来れば日射を入れたくない9月15日、14:30上のスケッチアップを見ると
だいぶ陽射しが入り込んでいるのが解ります。
さらに下のスケッチアップ 16:30 暑い陽射しが部屋の奥まで差し込んでします。
22.5度の振れがここまで影響します。
解決方法として、午後、ヨシズや外付けブライドを利用して、影を作る方法もありますが、
今回は、敷地的にも余裕があるので、建物を真南側へ振って対応する方向で検討を進めています。
下のスケッチアップ
9月15日 8時 12時 14時 の日影。 軒の出 1350 鹿児島県喜入
建物の方向を変えて南面させて、軒の出を150伸ばし L=1350、
その結果、夏の間、
南側の窓面には、終日、日射は当たりません。
下のスケッチアップ 9月15日の日射日影の状況です。
太陽高度の低い08:00に多少当たっていますが、
これも、戸袋をもう少し前へ出すか、袖壁を設けることで対応出来そうです。
下のスケッチアップは、軒の出、方位は同条件で、
冬12月15日 14:30 の日影日射の状況です。
一日中、良い感じで陽射しが差し込みます。
夏を旨とすれば、建物を真南に向けて、軒の出 1,350 で良さそうですね。
しかし、下のスケッチアップ
まだ少し、暖房の欲しい 3月15日の同条件の日射を見ると、
軒の出を短くして、日射をもう少し取り込みたいと思うかもしれません。
軒の出 1,200 軒の出 1,350
このスケッチアップは、3月15日14:30 の日射日影の状況です。
この時期の日射取得をメインに考えると軒の出は、1,200 に押えておきたい。
そう思う人も多いと思います。
両立させる方法は無いでしょうか。
軒の出を短くして、外付けブラインドを付ける。パッシブ的でとても有効な設えです。
ただ、外付けブラインドが少し高価な設備です。
まだ、方法があります。
軒の出 1,200 夏の間は、軒先に450程度のスダレを垂らしておくと言う方法です。
季節ごとに設えを変えることを楽しみながら、自然の恵みを有難く使う。パッシブ的な暮らしです。
軒の出は、もちろん雨を防ぐコトも大切な役割です。初夏や秋、雨の多い鹿児島ですから、
軒を延ばせば、中間期、雨の降る日も安心して窓を開けた暮らしが出来ます。
軒の出1,350 1,500 の選択もあって良いと思います。
決めるのは、この舞台を楽しむ住まい手の方々です。
住まい方について
議論を重ねながら、設えの選択を進めて行きます。
今回、建物の配置、軒の出の検討を紹介しましたが、
太陽の動きや風向等を丁寧に解析して
自分たちの生活スタイルにあった設えを考え、選択していく。
それがパッシブデザインです。
設計する中で、その設えでどのような温熱環境が実現するのか
それをシミュレーションすることも、大切な作業です。
また、実際に完成した建物で、どのような温熱環境が実現出来ているのか
その測定を行いながら、シュミレーションの精度を上げる努力を行っています。
(つづく) <ひらやパッシブ> 配置・軒の出の検討2
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