蒲生蔵再生 木造建築病理学

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昨日、屋敷門の竣工検査が終わりました。本日、補足資料を提出して門の工事は、無事終了。
屋敷門を潜ると奥に蔵が見えます。築100年の蔵です。1年以上の工期をかけた蔵改修工事でした。
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美しく仕上がった蔵からは、想像出来ませんが、改修前の蔵は、外壁の漆喰に、ところどころヒビが入り、雨戸上部の瓦の庇はボロボロと落ち始めていました。
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一番ダメージを受けていたのは、北東角の外壁です。つる草が絡み、ひび割れから内部へ根が入り込んで、常に湿った状態でした。少しずつ壊しながら、状況を見ていくと、当初想像した以上に根が入り込み、角の柱には、腐朽菌が繁殖して、ボロボロに腐り始めていました。腐朽の範囲を確認しながら、腐朽菌を含む土壁を撤去、柱を取替、京都から取り寄せた新しい土で補修していきました。補修した土壁の乾燥にも時間が掛かりました。
この作業を技術的に支えたのが、兵庫県出身の左官職人、佐々木さんです。
佐々木さんとの出会いが無かったらこの改修は出来なかったかもしれません。或いは、出来上がりのレベルが随分変わったと思います。佐々木さんの誠実さと確かな技術がこの蔵改修を支えました。
岐阜県立森林文化アカデミー、木造建築病理学の先生方にも相談に乗って頂きました。一昨年から2年間、アカデミーの単科履修生として、木造建築病理学、年2回の集中講座に参加したこともあって、腐朽菌の対応、シロアリの対応など、先生方に相談しながら作業を進めることが出来たのは、有難い環境でした。
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内部は、1階床がシロアリの食害で、内部へ入るのも危ないくらいの状況でした。実際、調査の際、何か所か床を踏み抜きました。どこまで、食害が進んでいるか心配しましたが、不思議なことに、1階床以外、上部への食害はほとんどありませんでした。
1か所だけあった食害箇所が、下の写真です。蔵の入り口引戸裏にあった、巨大なシロアリの巣。非常に重たい引戸の裏だったので、開け閉めすることが無く、内部の空洞に巨大な巣を作っていました。さらに、漆喰内部のコマイまで、食害がすすんでいて、静かに作業をしていると、音が聞こえるくらいのシロアリがいました。
シロアリの対応は、グリーンコープのハウジング事業に参加していた時から、お世話になっている総合技研シロアリの木下さん調査して頂きました。ここまで、食害が進んでいる状況だったので、ベイト剤だけでは、対応が難しいと言うことで、ドミノ効果のある薬剤処理で対応しました。
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元気に動くシロアリが大量にいます。薬剤処理を行った後、シロアリの死滅が漆喰の中に大量に残ったため、腐敗した匂いと湿気がなかなか抜けませんでした。
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頼りになる協力業者の協力と森林文化アカデミーの先生方、関西の友人たちの助言で、完成出来た改修工事です。もちろん、この作業は、祖先から受け継いだ伝統をしっかり守り、子供の世代へ伝えていきたいという施主の強い意志がなければ、始まらなかった仕事です。