日射遮蔽の話 「十分な軒の出をとって真南を向ける。」

じねんもくでは、土地をお探しの方には、ご一緒に土地探しのお手伝いをさせて頂いています。本日のお客様とのやり取りです。
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土地情報について、もう少し、補足させてください。
 
ご紹介しているこの土地の良さについてです。
先程の土地は、是非、購入をお勧めしたい土地です。
 
昨日の現況写真、Sun Seekerの写真でも解りますが、
1.南面道路で非常に日当たりの良い土地です。
2.東西隣地の駐車場が南側にあるるので、
 殆ど日影の影響を受けそうにありません。
3.この区画の敷地が全体的に大き目なので、隣地住宅との離隔距離が
 しっかり取れており、風通しが良い。
4.区画の方位がほぼ南面している。
正確に言うと、道路境界線は、真南から8°程度東を向いています。
 
4.の真南を向いているということが、パッシブデザインを進める上で、
非常に重要なんです。
道路が30°、45°振れている土地はたくさんあります。
それがどのようにパッシブデザインに影響するか。
少し説明させてください。
 
今回の土地は、広さ的にも余裕があるので、8°程度の振れであれば、
敷地内で建物を回転して真南に向けることは可能だと思います。
 
少し長い説明になりますが、読んで頂けると嬉しいです。
イメージ 1
パッシブデザインを進める上で、まず、基本的な性能として、断熱性能を上げます。
断熱性能を上げることで、「快適な目標室温」と室温との温度差が小さくなります。
その小さくなった温度差をパッシブデザインの徹底で「目標室温」に近づけます。
 
断熱性能は、パッシブデザインの大切な条件ですが、日射遮へいをしっかり行わないと、熱がこもり、夏、暑い家になってしまいます。
日射遮へいをしっかりして、断熱性能を上げれば、遮熱性能もあがり、夏の暑い、外部の熱をカットできて、涼しく過ごせます。
その条件として、自然木では、「夏の日射は、窓面に絶対当てない。」を徹底しています。建物形状と外付けの日射遮蔽装置を、スケッチアップで時間をかけて検討しています。
 
先程、説明のためにYouTube動画をアップしました。
 
2年程前竣工した加世田津貫の家(passiveひらや)を設計する時に作成したGoogleSketch Up の動画です。
建物配置は、真南を向いて、軒の出を十分(1m20cm)出しています。
 
前半が830日夏の日影、後半が130日冬の日影です。 
8/30夏は、7:00  9:00  12:00 15;00  リビング内部9:00
1/30冬は、9:00  12:00 16:00          リビング内部15:00
 
真南を向け、軒の出を十分(1200)取れば、南側開口部には、軒の出だけで、窓面に陽が当たらないことが解ります。
東西の開口は、朝夕、陽の高さが低いので、軒の出で防ぐことはできません。
東の開口は、午前中。西の開口は、午後。すだれやルーバー雨戸を閉めることで対応します。
アニメーションは、夏冬、2回繰り返し同じ内容を表示します。
Googleの位置情報を元にした、月日、時刻の正確な日影です。
イメージ 2
Passiveひらや (真南)  https://youtu.be/691LV5msD4E
 
次の動画は、同じモデルを東へ25°回転させた時の日影です。
8/30は、真南と同時刻の日影ですが、早朝から10時過ぎまで南面の窓に陽が当たるコトが解ります。上下のスケッチアップパースを比較しても、8/30 8:00 同じ日、同じ時刻の日影ですが、25°東へ向けただけで、窓面に日射が当たります。
さらに、25°東を向いたことで、北面にも、午後長時間、日射が当たります。東西南北、すべての面で日射を防ぐ対応が必要になります。
8/30 北面の日射状況も表示します。 17:00  18:30 までの状況です。
この東西南北すべての窓をしっかり日射遮蔽するということは、非常に大変な作業です。実際、やってみると解りますが、徹底することは不可能です。
1/30  の時刻は真南と同じです。午前中、日射が良く入り、午後は入りにくくなります。こちらのアニメーションは、夏冬の順で一度だけ表示されます。
イメージ 3
Passiveひらや south25:   https://youtu.be/Y7uUXYCCijE
 
南開口部を真南に向けるのは、夏の日射遮へいを容易にするためです。建物の方向が、真南からずれることで、「夏の日射は、窓面に絶対当てない。」を徹底するための労力が大きく変わります。
 
土地の形状、広さの条件から、建物を真南に向けることが出来ない敷地もあります。その場合は、南面にもスダレ・ヨシズを設置したり、南面のルーバー雨戸を日射対応で開け閉めします。
実際にやってみれば解りますが、南、東西、北、
すべての方位の対応を確実にやるのは、大変な作業です。
1,2年は頑張れますが、次第に徹底できなくなります。
結局、「夏の日射は、窓面に絶対当てない。」が徹底できないことになります。
 
窓から入ってくるエネルギー量は、想像以上に大きいんです。
一間巾の掃出し窓、一面から入るエネルギーは、1キロワット。
電気ストーブ一台と同じです。
軒の出やスダレ等の対応をしないで、窓面に陽を当てることは、
窓面に一台ずつ、電気ストーブを並べて生活していることと同じなんです。
 
真南に向けた配置を取って、充分な軒の出を確保する。
東西面の窓については、午前、午後と順番に開け閉めをすれば、
窓面に陽を絶対に当てない生活が容易に出来るんです。
 
鹿児島市内では、真南を向けた配置は難しいことが多いのですが、
今回の土地は、その計画が出来る敷地です。
しかも、通風も十分に確保出来そうです。
 
そういった意味で、とてもお勧めの土地です。
全体的な資金計画もあるので、そのバランスもありますが、
出来れば、このようなポテンシャルを持った土地で、
パッシブデザインを実現したいですね。・・・・・・・
 
こんなやり取りをさせて頂きました。
南面配置のできる敷地。
パッシブデザインの条件といっても過言でないと思います。