薩摩じねん派 「健康志向」の対応・考え方 01

昨日のblogで「牟礼岡の家」オールアース住宅について、「現場日記」施工状況をご説明しました。薩摩じねん派の「健康志向」の対応・考え方について、少し補足してコメントします。 薩摩じねん派 村田 です。

まず、薩摩じねん派が作る住宅は、健康志向のオールアース仕様、シックハウス対応の材料仕様も、身体への付加を軽減しますが、健康を担保するもではありません。その考えから、「健康住宅」という呼び方は、絶対にしません。

その背景にある考えを今回は書きます。少し、専門的な話ですが、読んでいただけると嬉しいです。

私が東京から鹿児島へ帰って木造住宅を作り始めた2000年前後は、シックハウスが大きな社会問題になっていて、多くの工務店がその対応を試行錯誤していた時期でした。

厚生省からホルムアルデヒド等の指針値やVOCの総量指針値TVOCが発表されるのですが、その測定が難しくて、誠実な工務店が簡易測定法で測定しても、その数値がなかなか基準値をクリアしません。その結果、測定結果、対応方法についての明快なコメントが聞けない状況が続きました。

ウッドデッキでの外気のサンプリング

健康志向の家づくりとして「自然素材、珪藻土、漆喰を使った健康住宅」とPRする、無垢板や左官材料の自然素材を使った家づくりが多くなりましたが、その室内環境の数値は測れませんでした。

クライアント様からの健康志向の要望は、非常に多かったんですが、どのような仕様で作れば、厚生省の提示する室内濃度指針値をクリアします。と言う明快な答えは示せませんでした。

そんな中、当時使っていた木材産地、九州で唯一、薩摩じねん派が納得できる自然乾燥材を供給していた宮崎県諸塚村、そこに集まる設計者・工務店グループが、熊本大学医学部の研究室と協力して室内環境測定を行い始めました。

その活動に参加する形で、鹿児島に帰ってきて初めて作った住宅、自分が最善の材料選択と考える材料で作った住宅を、研究対象として測定して頂きました。

「調査建物の仕様、測定結果を論文発表等で、全て公表しても良い」ということで、熊本大学の医学部、工学部建築学科の先生方と話を進めました。

研究者同士のネットワークから、さらに鹿児島大学の医学部、建築学科の研究室。最終的には、東京の労働科学研究所まで、五つの研究室が、それぞれの研究室の研究費で参加し、調査頂けることになりました。

写真は2000年5月、薩摩じねん派が鹿児島で最初に建てた住宅で行った、室内環境測定の様子です。

それぞれの研究者が利用しているいろんな測定装置で同じ測定を行い、その測定方法の特性を確認しました。

それぞれの研究者の測定方法の特性も解ったようですが、私としては、吸引管を使った簡易測定法の測定値がなぜ高めの数値が出るのか。その理由が解ったことが、一番大きな収穫でした。

簡易測定法では、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドが区別できず、その合計が測定されるので、どうしても高い測定値が出るということでした。

測定の次の日、一般の方、設計事務所、工務店関係の方、約30名ほどが、小さな住宅に集まってシックハウス対応についての勉強会を行いました。

今回は、少しマニアックな話が長くなってしまいました。

明日につづきます。薩摩じねん派 村田 でした。

薩摩じねん派 「健康志向」の対応・考え方 02