「卓越風」涼しい風はどこから吹いてくる?

 「パッシブデザインの家」では、自然風の流れ、通風の利用も大切に考えています。
通風を考える時、敷地に吹く風の方向を知りたいんです。鹿児島市では、桜島の降灰もありますからね。
初夏から夏、秋口にかけて、通風を利用したいんですが、「鹿児島は降灰があるから、夏の通風利用は出来ない。」そのように考えていらっしゃる方が多いのも事実です。鹿児島の風向について、考えてみます。
パッシブデザインを計画する時、アメダスデータをもとに作成した風配図から、卓越風の方位を調べます。
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「自立循環型住宅への設計ガイドライン / 技術情報 / 気象データ」より
鹿児島市の卓越風は、起きている時間も、寝ている時間も北西からの卓越風が多いんですね。
冬だけではなく、夏もです。
「あれ、おかしくない?夏、桜島の灰が鹿児島市には降ってくるんじゃないの。」
私も、そう思っていたんです。確かに、夏、南東の風に乗って、火山灰が降る時があります。
夏は、太平洋高気圧が張り出して、南東からの風が吹く。それに乗って火山灰が降るというイメージを持っていました。しかし、アメダスデータでみる鹿児島市の卓越風は、北西なんです。
その認識を持って、最近の夏を振り返ってみましょう。鹿児島市で、もう少し細かく言うと、住んでいる町、地域で、何日、降灰がありました?
1日か2日でしたよね。傾向としてはこの風配図通りなんです。
どうして、イメージと違うんでしょうね。
降灰があると、ひどい状況になるので、そのイメージが強烈。そのイメージのために、夏は毎日のように降灰があると思うんでしょうか。
確かに、桜島は、毎日のように噴火しています。年によっては、降灰が数日続く年もありました。「夏は・・・」という強いイメージを持ってしまうんですね。
しかし、天気予報で風情報をチェックしながら、窓の開け閉めを行えば、鹿児島市でも、通風は使えると思い始めています。最近はネットの情報も多いですし、風情報も正確です。時刻ごとの情報が発表されていますよね。
「北西からの卓越風」の傾向は、鹿児島市だけでなく、姶良、霧島などでも同じ傾向を示します。
溝辺空港も同じですよね。滑走路の方向が、北西を向いています。
じねんもくは、良く飛行機を使って出張するんです。年間30回ほど、溝辺空港を使うと思いますが、離陸着陸時は、必ず、北西側へ向かって飛びます。南東へ向かって離陸した記憶がありません。夏を含めてです。
この経験からしても、鹿児島市の卓越風は北東。夏も、桜島(南西、東)からの風は少ない。
アメダスデータの卓越風の傾向どおりです。
薩摩じねん派では、鹿児島の心地よい風の利用を提案したいんです。
もう少し、鹿児島県内の風傾向について、ご紹介しようと思います。
宮之城の卓越風、鹿児島市、姶良方面と同じ傾向を示しそうですが、違うんです。
卓越風の方向が北東・南西を向いているんです。
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「自立循環型住宅への設計ガイドライン / 技術情報 / 気象データ」より
傾向が違う。何が影響しているんでしょう。
「アメダスで日本全国津々浦々」  http://amedas.log-life.net/
が使えます。GoogleMap上に宮之城アメダスポイントの位置が出てきます。
川風が吹く場所なんですね。川内川に沿って吹く「川風」の影響です。
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枕崎も面白いですよ。
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「自立循環型住宅への設計ガイドライン / 技術情報 / 気象データ」より
枕崎の観測所も「アメダスで日本全国津々浦々」でポイントを見てみてください。
南北に川が流れています。ここも「川風」の影響を受けていると思われます。
しかし、それだけの要素ではないようです。
少し、引いてMapを見ると、南側は海、北側に結構深く山の緑が広がります。海風、山風の要素も強そうです。
それが合わさって強烈な南北の卓越傾向があると思われます。
しかし、どれだけの人が、枕崎は「夏も北から風が吹いている」と認識しているでしょう。
特に夏の夜間は、山からひんやりとした風が吹いているんですね。
これを使わない手はないですよね。この風や日の入り方等を考慮しながらの平面計画。
これが、パッシブデザインの通風、建物配置計画です。