無断熱の馬屋とパッシブリノベの母屋が並ぶ築150年古民家再生

吹上永吉の古民家リノベーション。5年前の今日、6月7日の写真です。

奥の母屋は、セルロースファイバーで断熱した高気密高断熱、太陽熱・太陽光パネルを載せたゼロエネルギーハウス(ZEH)。それに対し手前の馬屋は、全く断熱材を設置しない無断熱。性能の全く異なる2棟が並んで建っています

馬屋土間の壁は床から浮いて隙間風も吹き込みます。冬は簡易薪ストーブで採暖しています。
馬屋2階 空調機、囲炉裏テーブルが置かれ、親戚知人が訪ねて来たときの宿泊など、多目的に使用しています。 
母屋は、パッシブデザインの基本性能、断熱性能を確保して、日射遮へい、通風排熱等を検討しています。

「馬屋は無断熱」と書くと、今の時代、そんな家を建てているのと怒られそうですが、この母屋と馬屋を舞台に行われる生活の様子、また、時々お邪魔して感じるのびのびとした気持ちよさ、豊かさは、なかなか町なかの高気密高断熱の家では、実現できていません。

生活空間のひだ、懐の深さに、豊かさを感じるんです。

現在、多くのハウスビルダーが、高気密高断熱の家を目指しています。しかし、今出来上がってくる多くの住宅で、温湿度環境は確保されていますが、息苦しさを感じてしまいます。同じような感想を何人かの同業者に聞くことも多くなりました。

ある建築家が、自分の作っている空間に同じような違和感を感じ、それを根本的に考え直し、納得のいく「終の棲家」をつくりました。

日本初の超高層ビル「霞ヶ関ビル」、新宿の超高層ビルをいくつも設計した建築家:池田武邦氏です。

邦久庵Homepage

邦久庵(ほきゅうあん)は、池田武邦氏が、2001年、終の住処として大村湾のほとりに設計した庵です。300名を超える設計士を組織する事務所を超高層ビルの中に構え、機械的に温湿度をコントロールし、理想的な室内環境を作る建築家でしたが、出来上がってくる空間の質に疑問を感じ始め、自然と建物の関係を見つめ直し、たどり着いた住宅です。

高気密、高断熱とは全く無縁の住宅です。屋根は茅葺です。雨水を通しませんが、空気、煙は通りぬけていきます。そして断熱性能を持っています。この茅葺屋根の多機能性を絶賛し、最近の住宅では計画できない囲炉裏を設け、自然と連続し、外部環境と一体となる生活を楽しんでいらっしゃいます。

このようなコメントを書くと、断熱、気密性能の確保を否定していると感じる方もいるかも知れませんが、否定はしていません。

息苦しくない心地よい空間を作ること、周辺環境と住宅との関係をしっかり捉えたパッシブデザインを進めようと考えています。断熱、気密性能の確保は、パッシブデザインを進めていく上での、必要条件、大切な要素です。

パッシブデザイン、息苦しくない心地よい空間を作ることは、薩摩じねん派のもっとも大切に考えるコンセプトです。

じねん派の捉えるパッシブデザインの考え方・コンセプトを、次のブログから何回かに分けて、書きたいと思います。

吹上永吉の古民家リノベ