完成見学会 「熱・光・風をデザインします。」
今回、見学いただく住宅は、敷地探しの段階から協力させていただき、パッシブデザイン検討を徹底して行った住宅です。
パッシブデザインとは、機械設備に頼らず、建物に様々な工夫を凝らすことで、「冬暖かく、夏涼しく、自然光で明るく」を実現し、室内の快適性と省エネルギーを目指す設計技術のことです。空調機に頼った快適性ではありません。建物の周りにある太陽や風など自然エネルギーをうまく受け止めて活用することを強く意識します。土地探し、敷地の設定は、パッシブデザインを進める上で、もっとも重要な項目の一つです。
今回の土地探しは、奥様の実家に近い吉野・川上地区、区画整理の終わった50~60坪の住宅地が候補地となりました。
ご夫婦2人と来客用の3台の駐車スペースを確保することも条件。3台駐車スペースを確保しながら、庭も確保したい。10箇所近い土地にプロトタイプのプランを配置して、それぞれの土地の特性を検討しました。
その中の東・北接道する南北に長い敷地です。上のパースは、グーグルスケッチアップの日影検討です。グーグルマップの正確な位置情報の上にモデルを立ち上げ、日時の正確な日影シュミレーションを行いました。
南側の隣地は平屋。西側は2階建てが建ちますが、1.5mほどのレベル差で下がっています。59坪の敷地で、北側に3台駐車スペースを確保しても、太陽高度の低い冬、ウッドデッキに洗濯物の干せる陽だまりが確保できています。
夏の日射をカット、窓面に日射を当てないことも大事な検討項目です。
2階南側の窓は、軒の出で日射遮蔽しています。
東側西側の窓は、朝夕の太陽高度は低いので軒の出の対応では、防ぐことはできません。ルーバーの角度を調整できる通風雨戸で日射遮蔽を行います。1階南側も同じです。
姶良平松の家に設置してあるルーバー通風雨戸です。夜間の通風のために考えられた商品ですが、日中の日射遮蔽にも使えるスグレものです。lowEのペアガラスと組み合わせることで、約90%の熱の進入をカットします。
このように出来るだけ機械設備に頼らず、周りにある太陽や風を使うための建物側の様々な工夫を行うことをパッシブデザインと言います。
ハチ君のためのパッシブデザイン